庭について考える   一級建築士、一級造園施工管理技士として

庭について考える   一級建築士、一級造園施工管理技士として

現代社会における「衣・食・住」
 年々私たちの暮らしは豊かになっている反面、「衣・食・住」の面において安価≠ニ高級志向≠ニ二極化されています。
「衣・食・住」の「住」は昔に比べ建売住宅や、プレハブ住宅が普及し、効率的で安価に住まいの環境が提供されてきました。
「衣」でもファストファッション≠フ登場で、流行を意識しつつも安価な衣類を手に入れることができます。
「食」でも流通や冷凍技術の進化で安価な輸入食材≠ェ私たちの食生活の選択肢に幅をもたらせました。コンビニ食やファーストフードなども充実する反面、それらはジャンクフード≠ニ呼ばれ、今もなお需要は増え続けていますが、健康な食生活とは程遠いもので、子ども達の未来を考える上では、出来れば避けたいものです。
 「住」にもジャンク≠ェないでしょうか。プラスチックやビニール、フェイク素材はお手軽で、安く、メンテナンスいらずかもしれません、しかしそれに囲まれた生活を、「豊かな生活」と言えるのでしょうか。だからと言って、全ての素材が自然素材≠セと、価格、安定供給、管理コストなど不都合が多いと言えます。自然素材を用いるのが理想ですが、現代社会の中では素材の長所、短所を知り、適正なバランスの見極めが重要だと考えています。 今一度、生活する上での‘ゆとりと潤い’‘安心と安全’について考えてみたいものです。

庭とは…
 敷地内の建物が建っていない部分を「庭」と呼び、学校≠教えの庭≠ニ言う様に、本来は「場」を表す言葉であり、植物の有無とは関係ありません。
 一方、「家」(HOUSE)は単に住むための「器」に過ぎませんが、「家」(HOUSE)「庭」(GARDEN)と結びついてはじめて、「家庭」(HOME)となります。
 そう考えると「庭」は生活する上での‘ゆとり’‘潤い’の部分になります。「庭」は大小、植物の有無にかかわりなく、私たちが生活する上での‘ゆとり’の部分。心癒されたり、和まされたりし、リフレッシュできる空間。子ども達が遊んだり運動できる安全で快適な空間。屋内スペースでは満たせない機能を補うスペースでもあるのです。

庭と外構の機能と役割
(1)生活的機能
   ・屋外生活の場として
   ・遊び場、スポーツの場として
   ・子どもの学習の場として
   ・植物の栽培や小動物の飼育の場として
   ・生活上の必須の場として(駐車・駐輪、物干しスペースなど)

(2)心理的機能
   ・憩い、癒しの場として
   ・四季を感じる場として
   ・自然の音を楽しむ場として

(3)物理的機能
   ・生活を守る場として(プライバシーなど)
   ・気象調節の場として
   ・防火・防災スペースとして

庭園デザインの条件
大きく分けて、以下の4条件を踏まえて計画・デザインする必要があります。

(1)自然条件
   ・気象・気候(日照、気温、湿度、降水量、風向、方位)
   ・土地(地形・地質、地積、水質、地下水位)
   ・植生(自然植生、人工植生)

(2)社会条件
   ・法的規制
   ・隣地、近隣の環境
   ・周辺道路

(3)文化条件
   ・歴史的背景

(4)個人的条件
   ・家族構成・年齢・職業
   ・趣味・教養
   ・予算

         

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